法律と倫理とUI
2019年12月25日
これはFOLIO Advent Calendar 2019 6日目の記事です。
最初に断っておくと、この記事はなにか解決策を示すものではなく僕らが日々悩んでることをつらつらと書き連ねたものです。同じような事考えてる人いたらぜひコメントください。
FOLIOは証券会社なので法令遵守が他の業界よりも厳しく求められます。(違反していると公の機関から指導されます。)明確な違反ではないけどグレーな表現や機能も怒られる場合があるので慎重に検討しなければなりません。
また、証券会社という特性から「倫理的」「誠実」であることも他の業界より強く求められます。(最近だと「Ethical UX」の話が規制産業以外のところでも注目されてますよね。)
そのため、FOLIOでは「サービスとして法令遵守し、お客様に対して誠実であり、使い勝手の良いUI」を開発することが求められます。
この条件を達成するために僕らのチームで日々考えていることをまとめてみました。
「誤認」との戦い
最もよく考えるのは「お客様に事実誤認させないこと」です。例えば次のようなケースが考えられます。
- 購入可能金額よりも多く購入できるように見える
- 資産が実際は増えていないのに増えているように見える
- (本当は停止しないが)条件を達成したら積立が自動で停止するように勘違いした
実際の状況をありのままに伝え、こちらの意図に反した行動を取らせないようにする
誤認を招いてしまった場合、金融商品は常にお金が動くので非常に多くの問い合わせがくることが予想されます。そうなるとCSや開発チームの業務量が爆増するだけでなく、サービスへの信頼感も低下してしまいます。
特にFOLIOのようなカジュアルな見た目のUIを作るとき、テキストの雰囲気が軽くなってしまったり重大さが伝わりにくかったりするので、非常に気をつかいます。
しかし誤認に怯えているだけでは使いやすいく楽しく投資ができるUIを作ることはできません。僕のチームではこんなことをよく考えています。
- 伝えたい情報は何か?どんな行動を促したいか?(ゴール)
- 「正しい情報」や「顧客が予想しているアクション」とのギャップはあるか?(ゴールと正しさのギャップを確認)
- ギャップがある場合、法令遵守できているか? or 顧客利益につながるか?
- 解釈に幅がありそうな場合は少し悪い方に考える
- 誇張をしない
テキストライティングもデザインである
この「誤認を回避する」ことを日々考えていると、文章もデザインの重要な要素の一つだと改めて強く実感します。文章の語調や長さなどでUIの印象もガラッと変わりますし、1つでも間違ったことを書いてしまうとお客様の体験を損ねてしまいます。
小さい文字を使わないこと
よくサービス側に不都合な注意書きが極小な文字で書かれていることがあります。ユーザーを騙すつもりがなく、見た目を良くするために注意書きの文字を小さくして目立たないようにしたい、という気持ちも理解できます。しかしこれは倫理的ではなく不誠実な印象を与えかねません。(考えすぎかもしれませんが。)
小さい文字の使用には慎重になるべきです。
FOLIOではデザインルールの中でアプリケーションで使用する文字サイズを12px以上に統一しています。リスクに関する情報などこちらにとって不都合になりうる文言もこのルールに則り12px以上のサイズで表記しています。
注意書きをきちんと読んでもらえるようなデザインにすることは、企業イメージだけでなく、問い合わせの件数を減らし全体の業務効率を向上させることにも寄与すると考えています。
ありのままを伝える難しさ
「法令遵守」「誤認させないこと」を達成するためには情報を正確に伝えることが重要になります。
しかし、プレーンな情報というのは生CSVファイルを見ているのと同じで何も伝えないのです。情報をきちんと伝達するためには情報を整理・分別し重み付けをすることが必要になってきます。その「重み付け」をどこまでやるのかが問題になってきます。
これには僕も具体的な解決策を見いだせてなく、その都度各部署とコミュニケーションをとって進めています。ときには他社事例なども参考にしつつ、情報をどう伝えるか日々考えています。
まとめ
FOLIOでは誠実なUI構築に興味のあるフロントエンドエンジニアを絶賛大募集中です!
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