takanorip blog

「炎上案件でスキルアップ」について思うこと

2021年8月29日

炎上案件だからスキルアップするのではない。
炎上案件は短い間にたくさんのことを要求されるので、うまい案件に当たれば他の人が3年かかるスキルアップを1年でできたりしてしまうだけだ。
しかしそんな良い炎上案件はそう多くはない。
大抵の炎上案件でやらされるのは大してスキルの必要ない大量のつまらない仕事であり、そういった仕事を限界までやらされればスキルアップなんてできず精神を病む。
炎上案件とか激務をこなすことを賛美している人たちはこの点に気づいていないか目をつむっている。完全な生存者バイアスだ。
また炎上案件に長く関わってしまうと目先の課題を手っ取り早く解決することしかできなくなってしまう。
僕はそういう人を何人も見てきた。
もちろん目先の課題を素早く解決できることも大切だが、それと同じくらい、長期的な視点に立って実装や設計の正否を考えたり1つの問題について深く考えることも重要だ。
激務をこなしているだけではこれは身につかない。

僕も炎上案件に関わったことのある人間の一人だが、他人に激務をこなすことを勧めたりしない。
しかしその経験が今の自分の一部となり良い影響をもたらしていることも認識している。
これは誰に批難されるものでも称賛されるものでもなく、ただ僕の運が良かった、それだけの話しである。

大切なのは炎上案件に関わるか否かなどという再現性のない話ではなく、どうやって労働基準法の中で働きながら人を育てるかだと思う。
炎上案件を経験し生き抜いた人間がすべきことは、経験を集合知としてまとめ、適切にプロジェクトを進行できるよう最大限の努力をすることではないのか。
またその中から次に繋がるヒントを見つけ、後から育ってくる人に伝えていくことではないのか。
自分たちのような存在は生まれないほうが幸せなのだ。
現実から目を背け自分たちの経験を美化し思考することをやめたら、そこからは何も生まれない。

takanorip

digital design engineer. X: @takanoripe