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書評:「未来のきみを変える読書術 なぜ本を読むのか?」 苫野一徳

2021年12月2日

この記事は takanorip Advent Calendar 2021 2日目の記事です。

「未来のきみを変える読書術 なぜ本を読むのか?」 苫野一徳

この本はTwitterで見かけて良さそうだったので買った。
https://twitter.com/kasaharu/status/1456889629752258560
高校生や大学生の若者が対象読者のようだったが読書論は個人的に好きな話なので読んでみたかった。

この本はけっこう小さくて薄くて文字も大きい典型的な若者向けの本という感じのデザインになっているが、構成もしっかりしていて内容はとても面白かった。
社会人でも読書習慣のない人やどうやって本を読んだら良いかわからない人はこの本を読むと短い時間で多くの学びが得られるのではないだろうか。

本書では「クモの巣電流流し」すなわち「読書経験を通じて作られた知識のネットワークが新しいアイデアにつながる」という考えをベースに読書の効用と方法について書かれている。
方法論だけでなく、知識を得ることがどう自分の役に立つか丁寧に示されているのが良いなと思った。(自分に子供がいたらこの本を読ませたいと思った。)

僕が特に良いなと思った節は「読書もまた一つの”経験”」と「市民としての読書」だ。

「読書もまた一つの”経験”」では、自分が直接経験できないことを読書という行為を通じて「経験」するのだということが書かれている。
まさにそのとおりだと思う。本とは他人の経験を詰め込んだものであり、自分とは生きている時代、国、境遇、身体的特徴などが違う人の経験を追体験できる良さがある。
また自分の経験を過度に一般化してしまう「一般化のワナ」について触れられているのも良かった。
大人になる前に自分の経験だけが全てではないと自覚することは非常に重要だと思う。

「市民としての読書」では、社会の一員として教養を身に着け自分が所属している社会について考えることの重要性について述べられている。
読書一般とはあまり関係ない話のように思えるが、とても大事な着眼点だと思う。
自分が属する社会をより良く作っていくためには社会の仕組みについて知らなければならず、それを得るための読書が必要だ。

非常に満足度の高い本だったのでみなさんも読んでみてはいかがでしょうか。

takanorip

digital design engineer. X: @takanoripe