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書評:「考えの整頓」 佐藤雅彦

2021年12月4日

この記事は takanorip Advent Calendar 2021 4日目の記事です。
このアドベントカレンダーは僕が今年読んだ本を振り返っていこうという趣旨のやつです。(今まで説明するの忘れてた)

「考えの整頓」 佐藤雅彦

この本もTwitterで見かけたので買った。僕が買う本の大半はTwitterで見かけたやつ。

僕は学者が書くエッセイが大好きだ。寺田寅彦随筆集は大学生の時の愛読書であったし、外山滋比古先生の本も何度も読んでいるし、深澤直人さんのエッセイも好きだ。
学者のエッセイの何が良いかというと、一つ一つのエピソードがよく分析されていて面白いという点がある。
著者の日常生活で起こったことやその時の心情描写だけでなく、「なぜそのようなことが起きたか」「そこから導かれる普遍的な事柄はあるか」みたいな観点の分析があり読んでいて面白い。(そして学びもある)

この本もそういった類の本の1冊だ。佐藤雅彦さんという東京藝術大学教授が著者なのだが、家族との話や大学での話、日常風景を題材にした話などがあり飽きが来ない良い本だと思った。
連載をまとめたものだからか、1話のボリュームもちょうどよくテンポ良く読めるので楽しかった。

特に印象に残った話は「見えない紐」だ。
この話の主題は「作法」だ。
コミュニケーションを円滑にするためのプロトコルであり普段我々にとって無意識な存在となっている「作法」を捉え直すことで新しい発見があるかもしれないという話を「文章を読むときの作法」を例にしている。
芸大の先生っぽい着眼点だと思ったが、自分の仕事でもユーザーが無意識に行っている「作法」が大事になる場面も多いので、きっといろいろな仕事につながる考え方なのかなと思った。

僕も将来こんなエッセイの連載を持ってみたいものだと思った。

takanorip

digital design engineer. X: @takanoripe